近年、海外からのオンライン販売が急増し、安全性が確認されていない製品が日本の消費者に流入している。
特に子供用製品で事故が発生し、以下の課題が明確化。

  • 海外事業者の責任が不明確
  • 日本では子供向け製品の安全規制が限定的

→ 消費者保護強化のため制度改正が必要に

  1. 消費生活用製品安全法
  2. ガス事業法
  3. 電気用品安全法
  4. 液化石油ガスの保安確保法

これらは共通して「事前規制(PSマーク等)」+「事後規制(事故報告など)」を組み合わせて安全を確保。
海外EC事業者に関係するのは、「消費生活用製品安全法」と「電気用品安全法」となる。


1. 海外事業者(特定輸入事業者)を規制対象として明確化

オンラインモール等を通じて日本向けにEC販売する中国、韓国などの企業も特定輸入事業者と定義される。
日本の消費者に直接販売する海外事業者が新しく規制対象に
→国内管理人の選任と届出が必要に

図1:新たな規制の対象者(特定輸入事業者)について(経済産業省)より
https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/shouan/contents/tokuteiyunyu_kaisei_Japanese.pdf

2. 国内管理人制度の創設

海外事業者の“日本国内の代理人”という位置づけ。

国内管理人の要件
  • 日本国内に住所がある
  • 日本語で意思疎通が可能
  • 海外事業者と必要事項を契約で取り決めている
国内管理人の義務
  • 特定輸入事業者との連絡体制の定期確認
  • 解約時は「未選任状態」発生防止のため事前報告
  • 法令遵守状況の把握と報告

➡ 国内管理人が実質的に安全確保の責任を担う

【義務】

  1. 検査記録の写しの保管義務
  2. 報告徴収、立入検査及び製品提出命令の受任義務

【国内管理人に求められる報告】

  1. 特定輸入業者が報告を届け出行った日から1年経過するごとに、国内管理人に以下の報告を求める。
    ・届け出事業者の電話番号、メールアドレス
    ・連絡体制
  2. 国内管理人が特定輸入業者との契約を解除する場合には、契約の解除を行う日の前日から起算して30日前の日までに、申し出る必要がある。

3. 取引DPF(デジタルプラットフォーム)への義務強化

Amazon・楽天などの「取引DPF提供者」も一定の責任を負う。

  • 問題のある製品の出品停止などの対応を求められる
  • 危害のおそれがある場合、国が出品削除を要請できる

4. 子供用特定製品の規制(新設)

新たに「子供用特定製品」区分が追加。
まずは以下2製品が対象(図2):

図2:子供用特定製品への製品の追加(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/shouan/contents/toys_kaisei_Japanese.pdf

乳幼児用玩具
2025年12月25日以降の製造・輸入品は丸型「子供PSCマーク」が必須

乳幼児用ベッド

図3:改正製品安全4法による、新たな規制の対象者、対象製品等の具体的な内容について(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/product_safety/consumer/pdf/2025Jan_block_setumei.pdf
子供用特定製品のマーク製品安全ガイド(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/product_safety/kodomo/gangu_kisei.html

■ 海外事業者(特定輸入事業者)

■ 国内管理人

  • 海外事業者の連絡体制を維持
  • 法令対応の支援と報告
  • 契約解除時の事前報告

国内販売事業者・ECモール

  • 子供向け製品の安全表示が強化
  • 海外事業者製品の安全確保
  • 取引プラットフォーム上の危険製品が早期排除
  • 2025年12月25日施行
消費⽣活⽤製品安全法等(※)の⼀部を改正する法律の概要(経済産業省)より
https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/shouan/contents/tokuteiyunyu_kaisei_Japanese.pdf
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