改正消費生活用製品安全法
(2025年施行)
― 海外EC事業者向け新規制をカンタン解説 ―

1. 改正の背景(なぜ変わるのか?)
近年、海外からのオンライン販売が急増し、安全性が確認されていない製品が日本の消費者に流入している。
特に子供用製品で事故が発生し、以下の課題が明確化。
- 海外事業者の責任が不明確
- 日本では子供向け製品の安全規制が限定的
→ 消費者保護強化のため制度改正が必要に
2. 対象となる法律(「製品安全4法」とは?)
- 消費生活用製品安全法
- ガス事業法
- 電気用品安全法
- 液化石油ガスの保安確保法
これらは共通して「事前規制(PSマーク等)」+「事後規制(事故報告など)」を組み合わせて安全を確保。
海外EC事業者に関係するのは、「消費生活用製品安全法」と「電気用品安全法」となる。
3. 改正のポイントまとめ(2025年12月25日施行)
1. 海外事業者(特定輸入事業者)を規制対象として明確化
オンラインモール等を通じて日本向けにEC販売する中国、韓国などの企業も特定輸入事業者と定義される。
日本の消費者に直接販売する海外事業者が新しく規制対象に
→国内管理人の選任と届出が必要に

https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/shouan/contents/tokuteiyunyu_kaisei_Japanese.pdf
2. 国内管理人制度の創設
海外事業者の“日本国内の代理人”という位置づけ。
国内管理人の要件
- 日本国内に住所がある
- 日本語で意思疎通が可能
- 海外事業者と必要事項を契約で取り決めている
国内管理人の義務
- 特定輸入事業者との連絡体制の定期確認
- 解約時は「未選任状態」発生防止のため事前報告
- 法令遵守状況の把握と報告
➡ 国内管理人が実質的に安全確保の責任を担う
【義務】
- 検査記録の写しの保管義務
- 報告徴収、立入検査及び製品提出命令の受任義務
【国内管理人に求められる報告】
- 特定輸入業者が報告を届け出行った日から1年経過するごとに、国内管理人に以下の報告を求める。
・届け出事業者の電話番号、メールアドレス
・連絡体制 - 国内管理人が特定輸入業者との契約を解除する場合には、契約の解除を行う日の前日から起算して30日前の日までに、申し出る必要がある。
3. 取引DPF(デジタルプラットフォーム)への義務強化
Amazon・楽天などの「取引DPF提供者」も一定の責任を負う。
- 問題のある製品の出品停止などの対応を求められる
- 危害のおそれがある場合、国が出品削除を要請できる
4. 子供用特定製品の規制(新設)
新たに「子供用特定製品」区分が追加。
まずは以下2製品が対象(図2):
- 乳幼児用玩具(3歳未満向け)
- 乳幼児用ベッド

https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/shouan/contents/toys_kaisei_Japanese.pdf
乳幼児用玩具
2025年12月25日以降の製造・輸入品は丸型「子供PSCマーク」が必須。
乳幼児用ベッド
- 旧マーク → 菱形の子供PSCマークへ貼替義務
- 経過措置:2027年3月25日以降は旧マーク製品は販売不可

https://www.meti.go.jp/product_safety/consumer/pdf/2025Jan_block_setumei.pdf
子供用特定製品のマーク製品安全ガイド(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/product_safety/kodomo/gangu_kisei.html
4. 事業者が取るべき対応(チェックリスト)
■ 海外事業者(特定輸入事業者)
- 重大事故発生時は10日以内に報告
- 国内管理人を選任し、届出
- 技術基準に適合した製品設計
- 表示義務に従い、PSCマーク等を表示
■ 国内管理人
- 海外事業者の連絡体制を維持
- 法令対応の支援と報告
- 契約解除時の事前報告
■ 国内販売事業者・ECモール
- PS/PSCマークがない製品は販売不可
- 国の要請に基づき出品削除等の措置に対応
5. 消費者への影響
- 子供向け製品の安全表示が強化
- 海外事業者製品の安全確保
- 取引プラットフォーム上の危険製品が早期排除
6. 施行スケジュール
- 2025年12月25日施行
- 乳幼児用ベッドの旧マーク製品は2027年3月25日以降販売不可
7. 全体のまとめ

https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/shouan/contents/tokuteiyunyu_kaisei_Japanese.pdf