メーカーではないのに「特定輸入事業者」になる必要はある?
海外小売業者が負うべき新義務と対策

メーカーではないのに「特定輸入事業者」になる必要はある? 海外小売業者が負うべき新義務と対策

「メーカーではないから、自分たちは関係ない」と考えている海外小売業者(セラー)の皆様へ。その認識のままでは、2025年12月25日以降、日本での販売が継続できなくなる恐れがあります。

今回は、メーカーではない仕入れ・販売業者がなぜ「特定輸入事業者」になる必要があるのか、そして負うべき重大な責任について解説します。


海外の工場やメーカーから製品を仕入れ、日本のAmazonや楽天市場などで販売している多くの小売事業者の皆様から、「うちは製造元ではないけれど、日本政府に対して輸入事業の届出をして、特定輸入事業者になることは必要なのか?」という質問を多くいただきます。

結論から申し上げますと、「あなたが日本市場へ直接販売する主体であるなら、メーカーでなくても『特定輸入事業者』としての届出が必要」です。

1. なぜ「小売業者」が特定輸入事業者になるのか

2025年(令和7年)12月25日施行の改正法では、海外から商品を直接日本へ送り込む「日本の消費者に商品を直接提供する窓口」を責任主体として捉えます。

たとえ自社で製造設備を持たない小売業者であっても、自分のショップ名で販売している以上、あなたが日本における「輸入の責任者」=「特定輸入事業者」とみなされます。法的な安全責任(基準適合・検査・リコール対応)はすべて、メーカーではなくあなた自身が負うことになります。

2. 国内管理人が保存すべき「自主検査記録」の法定6項目

特定輸入事業者は、出荷する製品の安全性を確認し、その記録を作成・保存する義務があります。この記録は、日本国内の管理人が当局の求めに応じて即座に提示できなければなりません。

検査記録には、日本の法令で定められた以下の「法定6項目」がすべて記載されている必要があります。

  1. 製品の型式の区分(どのような製品か)
  2. 検査年月日(いつ検査したか)
  3. 検査場所(どこで検査したか)
  4. 検査を実施した者の氏名(誰が担当したか)
  5. 検査した製品の数量(何個検査したか)
  6. 検査の結果(合格したか、数値はどうだったか)

実務のアドバイス 海外のメーカーから送られてくる一般的な「Test Report」には、これらの項目が不足しているケースが多々あります。特に「検査を実施した者の氏名」や「正確な検査年月日」が漏れがちです。 「これらの6項目を網羅したレポートを毎回発行すること」を、あらかじめメーカーと契約で取り決めておくことが非常に重要です。

3. 「メーカーの検査データ」を効率的に活用するフロー

自社で検査機器を持たなくても、以下の流れで運用すれば、法的義務と効率化を両立できます。

  • ステップ1:メーカーへの指示 メーカーに対し、「日本の法令に基づく検査(外観・絶縁等)」を実施し、かつ「法定6項目を網羅した記録」を作成するよう指示します。
  • ステップ2:国内管理人へのデータ送付 メーカーから届いた検査記録を、そのまま、あるいは日本語訳を添えて国内管理人に送付します。
  • ステップ3:国内管理人による保存 国内管理人は、届いた記録が法定6項目を満たしているか確認し、日本国内で適切に保存します(通常、記録は3年間から7年間の保存が義務付けられています)。

4. 申請の方法と将来の展望

特定輸入事業者の届出は、現在以下の方法で受け付けられています。

  • 現時点(施行前):
    経済産業省へのメールでの直接申請、または国内管理人を通じた保安ネットでの代理申請。
  • 今後(2025年12月25日以降):
    日本の電子政府窓口「e-Gov」を通じたオンライン申請が、海外事業者自身で直接実施できる予定です。

まとめ:正しい形式の記録が、あなたのビジネスを守る

「検査をしています」と口で言うだけでは不十分です。法定6項目を満たした正しい形式の記録を、国内管理人がいつでも出せる状態で持っていること。これが、2025年末以降、日本で安心してビジネスを続けるための「守りの要」となります。

「メーカーに送るための、法定6項目を網羅した検査記録のテンプレートが欲しい」
「今のメーカーのレポートで、当局のチェックをパスできるか見てほしい」

私たちは、こうした実務レベルのご相談を専門に承っております。日本向けのビジネス開始に向けて、今のうちからメーカーとの運用フローを整えておきましょう。

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