特定輸入事業者申請と検査記録はどの単位で必要?
SKU・カラバリ・リニューアルの扱いを徹底解説

海外事業者が特定輸入事業者の届出を進める際、最も頭を悩ませるのが「一体どの単位で申請や検査記録を準備すればいいのか?」という点です。
「SKU(最小在庫管理単位)ごとに必要なのか?」「色違いやサイズ違いはどう扱うのか?」といった、実務で必ず直面する疑問について、最新の指針に基づき徹底解説します。
2025年12月25日に施行される改正製品安全4法。特定輸入事業者として活動を開始する際、最も重要なのは「届出」と「自主検査記録」の管理単位を正しく理解することです。ここを間違えると、過剰な手間がかかったり、逆に法律違反(届出漏れ)になったりするリスクがあります。
1. 事業届出の単位:基本は「型式の区分」
まず、経済産業省などに行う「事業届出」の単位についてです。これはSKUごとではなく、法律で定められた「型式の区分」という単位で行います。
- 型式の区分とは?:製品の構造、材質、性能などの安全に関わる要素が共通しているグループのことです。
- SKUとの違い:例えば、同じ仕様のACアダプターで、色が「白」と「黒」の2種類(2 SKU)あったとしても、安全に関わる構造が同じであれば、届出は「1つの型式の区分」としてまとめて行うことができます。
2. 検査記録(法定6項目)はどの単位で必要?
次に、国内管理人が保存しなければならない「自主検査記録」の単位です。ここが実務上の大きなポイントになります。
① カラーバリエーション(色違い)の場合
基本的に、色の違いだけで安全性能に影響がない場合は、同一の検査記録にまとめて記載することが可能です。 ただし、法定6項目のうち「検査した製品の数量」には、各カラーの合計数や内訳を正確に記録する必要があります。
② SKUが異なる場合
仕様(電圧、電流、主要部品、構造など)が異なるSKUについては、それぞれ個別に検査記録を作成しなければなりません。
- OK:100V専用モデル(白)と100V専用モデル(黒)を1枚の記録にまとめる。
- NG:100Vモデルと240Vモデルを、安全上の評価が異なるのに1枚の記録で済ませる。
③ リニューアル・仕様変更(マイナーチェンジ)
製品の一部パーツを変更したり、リニューアルしたりした場合は注意が必要です。
- 安全に関わる変更(基板の変更、外郭の材質変更など):新しい「型式」として扱い、改めて届出や個別の検査記録が必要になる可能性が高いです。
- 安全に関わらない変更(ロゴのデザイン変更など):既存の型式の範囲内として、検査記録を継続できます。
3. 国内管理人と企業の連携:いつ記録を提出すべきか?
実務上の大きな疑問として、「国内管理人はいつ輸入されたか把握できないのに、どうやって記録を管理するのか」という点があります。
海外からお客様へ直送している場合、国内管理人が一つひとつの荷物の着荷を追跡する必要はありません。運用は以下のようになります。
- 企業側からの定期的な提出を待つ運用でOK: 国内管理人は、製品が輸入されるたびに記録を回収するのではなく、企業側から「製造ロット単位」または「月次」などで提出される検査記録を受け取り、保存するという形をとります。
- 「紐付け」が重要: 国内管理人の役割は、日本の当局から「〇月〇日に販売されたこの製品の記録を出してください」と言われた際、企業から預かっている記録の中から、その製品(ロット)に該当するものを即座に提示できる状態にしておくことです。そのため、企業側は「どの製品がどの検査記録に該当するか」が判別できるシリアル番号やロット情報の対照表も併せて共有しておくのが理想的です。
4. 海外から「お客様へ直送」する場合の検査タイミング
直送モデルの企業にとって、検査をいつ実施すべきかは非常に重要です。結論から言えば、「日本のお客様に向けて発送する前(=工場・倉庫からの出荷前)」が法定のタイミングとなります。
- 「注文後」ではなく「発送前」に完了させる: お客様から注文が入ってから検査するのではなく、あらかじめ「日本向け」として在庫している製品群(ロット)に対して、日本への発送が開始される前に自主検査を完了させ、法定6項目を満たした記録を作成しておく必要があります。
- 検査記録の作成単位: 一つひとつの配送箱ごとに記録を作る必要はありません。「同じ工場で、同じ時期に、同じ仕様で作られた製品群(製造ロット)」ごとに1枚の検査記録を作成します。
- 直送企業が守るべき流れ:
- 工場で製造・日本向けパッキングが完了。
- 【このタイミング】で自主検査(外観・通電等)を実施し、記録を作成。
- 検査に合格したロットのみを発送用在庫とする。
- 作成した記録を国内管理人に送付(またはクラウド等で共有)。
5. ロット管理とリニューアルの注意点
製品をリニューアル(マイナーチェンジ)した場合は、たとえ型式の区分が同じでも、「新しい仕様での最初のロット」については、改めて厳格な検査と記録が必要になります。
まとめ:ビジネスモデル別の注意点
今回の法改正は、製品を「どのように日本へ届けるか」によって、実務上の注意点が異なります。
① 海外からお客様へ「直送」する企業
国内管理人が個別の着荷を知ることはできません。そのため、「検査済みのものだけを日本へ送っている」という証拠(=検査記録)を、ロット単位で事前に国内管理人に預けておくスキームが不可欠です。「出荷前のロット管理」がすべてを握ります。
② 日本国内に「在庫(FBAなど)を置く」海外企業
日本国内の倉庫(Amazon FBA等)に商品を預けている場合、当局による「立ち入り検査」の対象になりやすいという点に注意が必要です。倉庫に在庫がある製品すべての検査記録が、国内管理人の手元に揃っている必要があります。「在庫している製品=すべて検査済み」であることを即座に証明できるよう、納品タイミングに合わせた記録の共有を徹底してください。
いずれのモデルであっても、特定輸入事業者(海外事業者)が主導して「正しい形式の記録を、国内管理人がいつでも出せる状態にする」という情報のパイプを太くしておくことが、2025年12月以降の日本ビジネスにおける最大の防御となります。





