【保存版】2028年、海外通販の「聖域」が消える。プラットフォーム課税と免税廃止がもたらすEC大転換

越境ECやデジタル経済の動向を追いかけている皆さんに、今後数年で私たちの買い物習慣とビジネスモデルを根本から覆す「二大改正」の全貌をお届けします。
これまで「海外から直接買えば、消費税がかからず安い」というのが、ネット通販の隠れた常識でした。しかし、その「聖域」とも呼べる免税措置が、政府の強力なメスによって解体されようとしています。
キーワードは、「プラットフォーム課税」と「1万円以下の免税措置の見直し」。
これらが完全に揃う2028年4月、日本のEC市場には「国境」という名の透明な壁が再構築されます。今回は、先行して同様の制度を導入したEU・イギリスの事例を紐解きながら、海外事業者・プラットフォーム・消費者が直面する難局と乗り越え方を徹底解説します。
1. タイムラインで見る「二大改正」の正体
この変化は二段階でやってきます。
- 第一段階:2025年4月〜「プラットフォーム課税(デジタル)」 主にアプリ課金、動画、オンラインレッスン等を対象に、楽天やAppleなどのプラットフォームが消費税を納税する仕組みが始まります。
- 第二段階:2028年4月〜「物品販売の完全課税化」 アパレルや雑貨などの「物」についてもプラットフォーム課税が導入。同時に、長年続いてきた「1万円以下の輸入消費税免税」が完全に廃止されます。
2. 先行事例から学ぶ:EUとイギリスで何が起きたのか?
日本が導入しようとしているこの制度は、実は2021年1月にイギリス、同年7月にEUが先行して実施した「VAT(付加価値税)改革」とほぼ同じモデルです。現地のEC市場で何が起きたのか、その教訓は日本の未来を予見しています。
① 海外事業者の「大量撤退」と「淘汰」
EUでの免税廃止直後、特に中国を中心とした小規模な越境ECセラーが激減しました。
教訓: 22ユーロ(約3,500円)以下の免税が廃止されたことで、低単価・薄利多売モデルの業者は、納税事務コストと19〜25%(現地のVAT率)の増税に耐えられず、市場から去りました。日本でも「100均」感覚で海外直送を行っていた業者は、2028年に壊滅的な打撃を受けるでしょう。
② 物流の混乱と「サプライズ請求」の発生
導入初期、プラットフォーム側で税金が正しく徴収されていない荷物が税関で止まるケースが多発しました。
教訓: 消費者が商品を受け取る際、配達員から「追加の消費税と手数料」を突然請求されるケースが相次ぎ、カスタマーレビューの悪化と返品率の急上昇を招きました。楽天市場などのプラットフォームが、いかに正確なデータを税関と連携できるかが死活問題となります。
③ 国内フルフィルメント(在庫保有)へのシフト
越境配送の不安定さとコスト増を嫌った大手海外セラーは、現地の倉庫に在庫を置く「国内配送モデル」へ一斉に切り替えました。
教訓: 日本市場を諦めない海外企業は、2028年までに「日本国内の倉庫」を確保する動きに出るはずです。
3. 海外の販売事業者が被る「致命的影響」
先行事例を踏まえると、海外出店者は以下の3つの壁に直面します。
「10%の価格優位性」の完全喪失
国内の競合他社に対して持っていた「税制上のハンデ」がなくなり、純粋な商品力と配送コスト、品質だけで戦うことになります。
「個人輸入の0.6掛け特例」の廃止という追い打ち
2028年には「個人使用なら商品価格の6割にしか課税しない」という特例も廃止されます。これにより、課税ベースが1.6倍に膨れ上がり、関税がかかる商品(革靴など)では、支払総額が現在の1.5倍〜2倍に跳ね上がるケースも出てきます。
インボイス制度への対応コスト
日本の消費税法に則った正確なデータ管理が求められます。これに対応できない企業は、プラットフォームから出品停止措置を受けるリスクを抱えます。
4. 消費者およびプラットフォーム側の動向予測
【消費者】「安いから海外」から「価値があるから海外」へ
消費者は、2028年4月を境に「海外通販は安くない」という現実に直面します。
- 国内回帰の加速: 同じ値段を払うなら、明日届き、返品も容易な「国内発送品」を選ぶユーザーが増加します。国内の小売・製造業にとっては大きな追い風となります。
【プラットフォーム側】「税務署の代行」という重荷
楽天市場やAmazonなどは、実質的に「税務署の出先機関」としての役割を担わされます。
- 出店者選別の厳格化: 納税漏れのリスクを避けるため、海外出店者への審査やデータ管理は今より格段に厳しくなるでしょう。
5. この難局をどう乗り越えるべきか?
この変化は、法律として決定している「避けられない未来」です。
海外事業者への処方箋
- 「価格」から「体験」へのシフト: 10%以上の値上げに耐えうるブランド力を今から構築してください。
- 日本国内倉庫の活用: 「海外直送」という不確実な物流を卒業し、国内在庫モデルへ移行することで、課税の透明性と配送スピードを確保しましょう。
プラットフォーム運営者への処方箋
- 出店者向けIT支援の強化: 自動計算・登録ツールの提供など、「出店者の事務負担をゼロにする」サービスがプラットフォームの競争力になります。
- 消費者への透明なコミュニケーション: 「なぜ高くなったのか」を税制改正の背景とともに誠実に説明し、納得感のあるショッピング体験を提供することが不可欠です。
6. 結びに:2028年、真の「EC公平化」が始まる
EUやイギリスの事例が示すのは、一時的な混乱はあっても、最終的には「ルールを守る健全なプレイヤーだけが残る、質の高い市場」へと進化したことです。
海外出店者の皆さんにとっては、これまでの「免税ボーナス」がなくなり、本当の実力が試される試練の年になります。一方で国内事業者の皆さんにとっては、これ以上ない「奪還」のチャンスです。
変化を予測し、先に動いた者が生き残る。2028年4月1日のXデーに向けて、今、戦略の見直しを始めてください。
※本記事は2026年1月現在の税制改正情報および海外事例に基づいています。最新の政省令については常に公式情報を確認してください。





